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第109話 孤独の影⑤

Auteur: 花柳響
last update Date de publication: 2026-01-28 06:00:27
 バタン、と重厚なドアが閉まる音。

 それが、私たちを繋いでいた細い糸が、完全に断ち切られた音のように聞こえた。

 部屋に残された私は、床に散乱した書類の海の中で、膝を抱えて小さくうずくまる。

 これで、よかったはずだ。

 彼がひた隠しにしてきた罪を突きつけ、拒絶し、言葉の刃でその心を切り裂いてやった。

 それなのに。

 どうして、こんなにも胸が痛いのだろう。

 最後に見た、征也の目。

 傷ついた子供のような、どうしようもない孤独と恐怖が滲んでいたあの目が、脳裏から離れない。

(……どうして何も言わないのよ、馬鹿)

 悔し涙がこぼれ落ちる。

 私が欲しかったのは、潔白の証明なんかじゃなかった。ただ、「信じてくれ」という一言だけでよかったのに。

 それさえも言えないほど、彼は何かを抱え込んでいるのだろうか。

 それとも、本当に私が思うような冷酷な人間なのか。

 ブブッ、と手元のスマートフォンが短く震え、思考を現実に引き戻した。

 無機質な液晶画面に浮かび上がる『蒼くん』の文字。

 まるで、この密室での出来事を壁の向こうから覗いていたかのような、絶妙すぎるタ
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